こんにちは、田中です。
投資用物件の選定方法は、相場的価値の積算方法、収益還元価格、取引事例比較法による価格 の3つの方法があるってご存じでしょうか。
例えば、相場的価値の積算方法が収益還元価格より下回っている場合、家賃が高い可能性があります。一方、上回っている場合は、金融機関からの借入がしやすいと言えます。また、収益還元価格が、取引事例比較法による価格よりも高い場合、区分所有マンションへの投資の方が有利と考えられ、逆に低い場合は一棟ものの投資が有利と言えます。
収益還元価格を出すときは、基本的にキャップレート(還元利回り)を使用しますが、キャップレートは、そのときの金融機関の融資の姿勢や方針によって変わることもあります。そのため、同一のキャップレートのエリアであっても購入する物件ごとにキャップレートが異なることもあると言えます。
「積算評価計算方法」は、主に金融機関などが不動産の担保評価を行う際に使う手法です。
不動産の担保力とは、不動産担保ローンなどで、返済不能になった場合に担保不動産を売却して回収できる可能性を指します。不動産評価額に担保掛目を掛けた値(担保評価額)と、すでに抵当権が設定されている場合の残余(担保余力)等で評価されます。
不動産を構成する「土地」と「建物」の価値を別々に算出し、それを合算して不動産全体の評価額を出します。
土地の積算評価
【計算式】 土地の評価額 = 路線価 × 土地面積(㎡)
※地域によっては「固定資産税評価額 × 1.1〜1.4倍」などの簡易評価も使われます。
建物の積算評価
【計算式】 建物評価額 = 再調達価格 × 残存年数 / 耐用年数
積算評価の合計
担保評価額(積算)= 土地評価額 + 建物評価額
これをもとに、金融機関は「貸出可能額」や「LTV(Loan To Value:融資割合)」を判断します。
例をもとに計算してみよう
例:築20年の木造アパート、土地100㎡、建物150㎡の場合
土地評価: 30万円 × 100㎡ = 3,000万円
建物評価: 15万円 × 150㎡ × (22−20)/ 22 ≒ 204.5万円
積算評価合計: 3,000万円 + 約205万円 = 約3,205万円
必要があれば、この数値をもとに収益評価と比較して、金融機関がどちらか低い方で担保評価することも多いそうです。(いわゆる「厳しめ査定」になります)
土地の評価:評価方法いろいろ
路線価 × 面積 ・・・一般的な積算評価。国税庁公表の価格で標準的 (相続税評価、保守的な担保評価)
固定資産税評価 ×倍率・・・地方で路線価がない場所で使う。倍率地域。(地方都市、郊外の担保評価など)
公示地価・実勢価格・・・実際の売買相場に近い価格。積算評価では使われにくい。(実勢価格の参考に、補完情報として使う)
建物の評価:築年数との戦い
【再調達価格】の目安
構造 再調達単価
木造 (目安)約15〜20万円/㎡
RC (目安)約20〜30万円/㎡
S造 (目安)約18〜25万円/㎡
【耐用年数(法定)】
構造 耐用年数
木造 22年
鉄骨(厚さ3mm未満) 19年
鉄骨(3〜4mm) 27年
RC造 47年
建物評価は「残存年数」がとても重要です。築年数が経ってると評価は一気に下がります。
金融機関によっては「最低でも2年は残存年数を確保」などのルールあるところも。
積算評価の限界と注意点
収益性を無視している 家賃収入が良くても、積算は反映しない
地域・築年でブレが大きい 地方では路線価が実勢より低いケースが多い
建物が古いとゼロ評価もある 年数超過=建物評価ゼロという銀行もある
収益還元法との乖離が起こる 利回りが良くても担保力が出ない」こともある
都市部 or 郊外、地価が高い or 低い、建物構造が RC造 or 木造、投資型 or 相続 等、さまざまな条件により評価のされ方が違ってきます。
ご来店予約と、メールでのご質問もこちらから
不動産査定AIが即査定額をお答えします無料
※かんたんAI査定は物件データベースを元に自動で価格を計算し、ネットで瞬時に査定結果を表示させるシステムです。