こんにちは、田中です。
はじめに:「凍結」という見えないリスク、聞いたことはありますか?
「親が認知症になったら、口座が使えなくなるって本当ですか?」
「介護費用が必要なのに、不動産を売れなかった…」
──こうした声は、実際に多くのご家族から寄せられます。
高齢化が進むいま、「認知症とお金の問題」は、すでに社会問題と言われるほど深刻なテーマです。
人はいつか、判断能力を失うかもしれません。
そしてそのとき、“何も準備をしていなかった”ことが、家族にとって大きな負担となるのです。
この「凍結」というリスク──
見えにくく、気づきにくい。
けれども、どの家庭にも起こりうる現実です。
認知症で財産が「使えなくなる」ってどういうこと?
認知症と診断されると、その方名義の資産(預金、不動産など)は凍結される可能性があります。
具体的には…
「共有名義」ならどうなるの?
共有者の1人でも認知症になると、その不動産は売れません。
たとえば「親50%・子50%」の不動産。
親が認知症になると、売却には「本人の意思確認」が必要ですが、それができなければ全体の手続きが止まってしまうのです。
家族がいれば、何とかなるのでは?
実は、ここが一番大きな誤解です。
「うちには子どもがいるから大丈夫」
「長男が面倒を見てくれるから心配ない」
こう思っていても、家族だからといって勝手に財産を管理したり、契約することはできません。
家族でも「できること」と「できないこと」 ~扶養義務 vs 法的代理権の違い~
「親のお金を代わりに下ろしたい」「介護施設の契約をしてあげたい」
そんなとき、あなたはこう思っていませんか?
「家族なんだから、当然できるでしょ?」
でも実は――家族であっても、法的な“代理権”がなければできないことがたくさんあります。
「扶養の気持ち」だけでは越えられない“法律の壁”があります。
具体的には…
家族には「扶養義務」があります。生活費を援助したり、世話をしたりする責任があります。
しかしそれと「法的な代理権」(契約や財産の処分などを代わりに行う権限)は、まったく別です。気持ちがあっても、権限がなければできないことがたくさんあるのです。
「できること」と「やってはいけないこと」の違いに注意!
たとえば、親の通帳を持ってATMに行き、「お金を引き出しておいたよ」という行為。
これは一見“親孝行”に見えますが、委任状や代理権がなければ、銀行では不正利用とされる可能性があります。
また、不動産売買や施設入居契約などは、たとえ家族であっても、本人の署名・意思確認が必須です。
あとから「無効」を主張されると、家族も施設も大きなトラブルになりかねません。
だからこそ必要なのが「家族信託」と「任意後見」です
家族信託とは、信頼できる家族に、預金や不動産などの財産を託す制度です。
こうすることで、親が判断能力を失っても、子どもが売却や資金活用をスムーズに行えます。
任意後見とは、親が元気なうちに、「将来、判断力を失ったときはこの人に任せたい」と契約しておく制度です。実際に認知症などが進行した際、家庭裁判所の監督のもとで効力を発揮します。
家族信託と任意後見、どちらがいいの? ~目的によって“両方使う”のがベストです~
どちらか一方を選ばなければならないということはなく、両方に役割があり上手に組み合わせることが、最も安心な備えになります。
どちらもご本人が元気なうちにしか契約できない制度なので、早めの準備が大切です。
おわりに:家族信託と任意後見の併用はとても有効ですが、必ずしも万能ではありません
ご家庭の事情や資産の規模によって、最適な組み合わせは異なります。特に資産が多い方は、併用によってリスクを抑えやすくなります。費用感や運用方法も含め、状況に応じたご提案が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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