こんにちは、田中 です。
2024年(令和6年)から、分譲マンション(居住用区分所有財産)の相続税・贈与税の評価方法が大きく変わりました。
これまでの評価方法では、実勢価格と評価額の乖離が大きいことが問題とされており、特に都心の高層マンションなどに顕著でした。この乖離を是正するため、「区分所有補正率」を導入し、より市場価値に近い評価を行う制度へと改正されました。
戸建 vs 区分マンション ― 改正の背景にある“見えない格差”
たとえば、以下のようなケースがありました:
つまり、資産額が同じでも納税額に数百万〜数千万円の差が出てしまう現状がありました。
このような構造は、いわゆるタワマン節税とも呼ばれ、課税の公平性が問われていたのです。
従来の分譲マンション評価方法
建物と土地をそれぞれ別の方法で評価し、合計額が課税評価額となっていました。
そもそも、区分建物ってなに?
区分建物とは、1棟の建物を構造上・利用上、独立した部分に分け、各部分ごとに登記が可能な建物のことです。
新制度の対象外となる建物
評価の新ルール:区分所有補正率の導入とは?
新制度では、従来の評価額に加えて、4つの指標(A~D)をもとに補正率を計算し、実勢価格との乖離を補正します。
Step 1:今までのやり方での価額(元の価格)を出します。
Step 2:そのマンションの特徴を元に「区分所有補正率」を出します。
以下4つの要素について、建物の特徴や敷地権の広さに応じて補正率を掛けて評価します。
それぞれ代入すると、
「評価乖離率」を計算します:
代入すると、
Step 3:評価水準を出します。
これは単純に:
評価水準が大きい(=評価乖離率が小さい)ということは、価値の乖離が小さい、一方で、評価水準が小さい(=評価乖離率が大きい)と、実勢価格との乖離が大きいという判断になります。
Step 4:区分所有補正率を確認します。
評価水準に応じて、3つのパターンに分かれます:
今回は 評価水準 =0.489なので、「補正あり」:2.043 × 0.6 = 1.2258(← これが補正率)
最終的な評価額:
この補正率を、先ほどの【建物】【土地】の評価額にかけます:
建物評価(積算法)
積算法とは、立地(都心 or 地方)に関係なく、「建物そのもの」に着目したコストベースの評価方法です。
たとえば、
土地評価(路線価方式)
相続税評価(=課税評価)での土地の価額は、原則として路線価 × 面積で評価されます。
なので、建物と土地は評価方法が別軸になっています。
「評価乖離率(ABCD)」は「建物中心」?
A〜Cはすべて建物に関する指標ですが、Dのみは敷地権割合=土地の要素です。
したがって、補正率は建物・土地の両方に掛けるものの、評価乖離率はやや建物寄りの設計になっています。
区分所有補正率は、建物評価にも土地評価にもかかる?
区分所有補正率は、次の両方に乗じて最終評価額を算出します。
評価対象 : 元の評価額 × 補正後の評価額
建物(区分所有権) : 固定資産税評価額 × 1.0 × 補正率
土地(敷地利用権) : 路線価評価 × 敷地持分 × 補正率
立地(都心 or 地方)は補正対象外
計算式には「立地」に関する要素は含まれていません。
しかし、都心部ほど実勢価格との乖離が大きくなる傾向があるため、補正率の導入によって一定の是正効果はあるものの、実態を完全に反映するわけではありません。
まとめ
令和6年以降、分譲マンションの相続評価は補正されやすくなりました。補正率により、従来より評価額が上がる(課税額が増える)ケースが多くなります。評価額は、物件ごとのスペック(築年数・階数・敷地割合など)に応じて異なるため、事前にシミュレーションしておくことが重要です。不動産や税金に関して気になる方は、専門家や税理士に早めにご相談ください。
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